福岡空港門限でJAL機が羽田リターン
2 月 19 日の羽田発福岡行きの JAL331 便。
福岡空港の門限を過ぎていたため着陸できず羽田空港に引き返してきた事案がニュースで話題になりました。
門限に間に合わないのに飛んだのか?
門限を過ぎた後に着陸した飛行機がいるけど?
なぜ関空にダイバートしてから何時に羽田に帰ってきたの?
これらの状況をフライトレーダーでプレイバックします。
JAL331便、本日2往復目だった!?
2 月 19 日の JAL 331 便の機体情報を見ると A350(JA07XJ)で運航。
フライトレーダーの検索窓に JA07XJ と打ち込んで詳細を見ていきます。
JA07XJ は、JL331便の前に JL317便・JL318便で福岡を往復しているようです。
しかも赤マーク付きの遅延。
JL317 便で飛ぶはずだった機体がトラブルのために JA07XJ が機材変更でひと仕事。JL331 便で飛ぶ前にすでに約 1 時間遅れです。
- JAL 317 便(HND-FUK)
定刻 12:00-14:00 → 実際 13:06-14:52 - JAL 318 便(FUK-HND)
定刻 15:00-16:30 → 実際 16:04-17:20
JAL331便のトラブル
JAL331 便の定刻は 18:30-20:30
同機材の JAL318 便が遅れているけど 19:10 には出発できるはずだった。が!
ここでもトラブル。
ところが貨物作業が難航。
トラブルが重なった JAL331 が出発できたのは 20:18 と約2時間遅れでフライト
羽田空港強風で全便遅延
悪いことは重なります。
この日の羽田空港は強風のために全便が遅れ気味。
便名 | 定刻 | 発着 |
---|---|---|
ANA273 | 19:45-21:50 | 20:09-22:01 |
JAL333 | 19:15-21:25 | 20:11-22:13 |
SKY027 | 20:00-21:55 | 20:15-22:08 |
SFJ55 | 20:00-21:55 | 20:16-22:06 |
JAL331 | 18:30-20:30 | 20:18-xx:xx |
JAL335 | 19:30-21:40 | 20:27-22:16 |
門限ダッシュの状況
福岡空港の門限に向けて羽田空港からダッシュして飛び立った各社の飛行機。
唯一、降りれなかった JAL331 便は後ろから 2 機目。
高度と速度
羽田から福岡に飛行するときは偏西風による向かい風の影響を受けます。
飛行高度は、24,000ft 〜 26,000ft で速度は 330 〜 340ノット。
この日は低めの高度で飛行。
先発の JAL333 便が急いでいる JAL331 便のために高度を空けてくれたのかもしれません。
福岡空港の門限カウントダウン
いつもの福岡空港門限15分前と当日(2月19日)をレーダーで比較。
門限15分前の福岡空港
前日の21:45、通常業務がコチラ(左)
羽田からの航空機が全機、着陸態勢で門限に余裕で間に合う状態です。
当日(右)は 飛行機だらけ!!
東からの着陸機が列になっています。
滑走路に降ろしきれなくてアプローチ管制官が ANA 機がホールドしています。機体の間隔もバラバラで管制に苦労しているのが感じれます。
門限10分前の福岡空港
JL331 便は先行していた JL333 便より先にでましたが、福岡空港へ着陸待ちの航空機はまだまだいます。
門限1分前の福岡空港
福岡空港の門限1分前。
滑走路に進入中の全日空(ANA273便)、後続にはスターフライヤー(SFJ55)。ホールドした スカイマーク(SKY027便)をより先に行きましたが…。
門限、絶望的!!
日本航空(JAL331便)は無情にもターン、JAL333便も続いてターン
門限5分後の福岡空港
スターフライヤー (SFJ55便)が着陸していきます。
続いて、回されたスカイマーク(SKY027便)もファイナルアプローチ
門限後、3機のJAL便
JAL333 便と JAL335 便は門限後も高度を下げて福岡空港に着陸していきます。
JAL331 便は大きく旋回、高度を上げて関西空港にダイバートです。
ニュース記事によると JAL331 便は 22 時に間に合わなかったら着陸できないことを羽田空港の JAL に通知してあったようです。日本航空としてはギリ間に合うと判断したけど、福岡空港が混雑していてギリ間に合わなかったという結果に。
天候による遅延が承認されると門限後でも着陸が可能です。
JAL333 便と JAL335 便は天候による遅延
JAL331 便の定刻は18:30のせいなのか「航空会社の都合による遅延」とされました。
関空にダイバート
福岡空港に着陸許可が下りなかった JAL331 便は関西空港にダイバート。関西空港は海上空港で 24 時間運用しています。(オルタネートなのかは不明)
関空へは追い風でビュンビュン飛行して着陸したのが 23:00。この後、羽田空港に飛び立つのは3時間後になります。
関空から羽田に離陸
給油とT 整備を終えた JAL331 便が羽田に向かって離陸したのが翌20日の 1 時 55 分。約 3 時間後に離陸しました。
なぜ離陸するのに3時間もかかったのか?
JALでは燃料を補給するだけでなく運航ごとに T 整備を行っています。(T=トランジット Transit)
ダイバートした JAL331 便の T 整備をするにあたって A350 の整備士が関空にいなかった。そのため伊丹空港から派遣されたのも時間がかかった理由のひとつのようです。
このようなイレギュラーなケースでもJALは安全運航をしています。
関空から羽田に着陸
20 時 18 分に羽田空港から離陸した JAL331 便が戻ってきたのが 2 時 43 分。C滑走路に着陸しました。
お疲れ様でした。
門限リターンを決めたのは管制官じゃない!?
管制官、無情すぎ!と思われがちですが JAL331 便を羽田リターンさせたのは管制官ではありません。
航空管制をしたのは管制官ですが、空港管理者(福岡国際空港株式会社)が羽田を離陸する前に通知していた通り JAL331 便の時間外着陸の申請を承認しなかったことで結果的に、管制官が JL331 便のパイロットに伝えたという流れです。
空港管理者は、22 時以降は着陸しない地域との取り決めを守ったのです。
空港の門限
門限のある空港は福岡空港だけではありません。
周囲の住宅への騒音の影響を踏まえて門限(運用時間)を定めている空港・基地があります。
空港 | 運用時間 |
---|---|
成田空港 | 6時から24時 |
伊丹空港 | 7時から21時 |
横田基地 | 6時から22時 |
門限は絶対ではなく、急患や機体トラブルなど緊急事態(エマージェンシーが)が起こったときは門限を超えた着陸ができます。